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染めのことsome
昆布染めのこと

染めるということ
染めは、命あるものから色をいただくことだと思っています。
草や木などの植物、泥や砂などの石、ときには血。
彼らが生きた証、とまでは言いません。でも、むやみに命を奪ってまで色をもらおうとは思わず、彼らに対しても大きな敬意を持ち、真正面から向き合っています。
僕は染めを始める前から、これに近しい考えを持っていたので、
初めての草木染めに使ったのは、落ちたイガでした。昆布で染めたときも、だしを取ったあとの昆布をもらって使いました。
大沼から函館に出たときは、五稜郭の目の前にある中央図書館で過ごします。学びの合間に、よく外を散歩します。
春には満開の桜が咲き、人であふれかえります。
その数か月前、きれいに咲けるように、桜は剪定されます。畑で食べ物を育てるときと同じです。
桜の色は、花ではなく木の中にいます。
咲くはずだったけれど、選ばれなかった枝。その生き様を、美しく形にできたら。
そんなアンテナを張りながら、草木染めをしています。

決まった色をもらえることは、ないと思っています。
この時期の、この植物からは、こんな色がもらえるんだな。
こんな天気の日は、こんな色が。
雨水を使ったら、もっと鮮やかな色が出るんじゃないか。
そんな一生の探求を、皆さんと共有しながら過ごせたらと思っています。
始まり
オーストラリアにいたころ、生地が高くて買えませんでした。古着屋で1ドルのベッドシーツを買い、染め直してパンツに仕立てました。
安いものに時間をかけて、好きなものを作る。この感覚が、いまも芯にあります。
帰国してから、日本の古い布を見たくて東北を旅しました。仙台の青空市で、藍で染めた酒袋をじっと見ていたら、声をかけられました。
「好きなのか、ここにあるから持っていけ」。
その人は米農家さんで、昔使っていた木綿の米袋をたくさん譲ってもらいました。
最初に染めた一枚は、その米袋の端切れです。染料は、祖父の山に落ちていた栗のイガ。もらった布を、拾った釘で作った液で染めました。
昆布
昆布とは、染める前に出会っていました。
海外に渡る前、南茅部で夜中の昆布漁のアルバイトをしていました。船から上がってくる、とんでもなく大きい昆布を台に引っ張り出し、干し場まで運んで干す。日が昇るまでの仕事です。
そこで知ったのは、昆布のにおいと、ぬめりでした。当時は、昆布で染めようとは一切思っていませんでした。
何年かして、大沼から近い函館で、展示をさせてもらうことになりました。場所を貸してくれた方が、ぽつりと言いました。
「昔は昆布館だったんだよ。……昆布って染料になるんかね」
ぜひやりたい、と答えたのが始まりです。
最初は、いつもの草木染めと同じように煮ました。鍋いっぱいの水が、生成りがかった黄色になりました。引き上げた布は、うっすら黄色くなった程度。「薄ー!」と声が出ました。
40〜50℃に抑えたり、冷水につけたり、細かく切って切って切りまくって煮込んだり。昆布を布に貼って転がしたら、緑が少しつきました。理由は分かっていません。
僕は濃く出すのが好きです。でも昆布はヌメヌメになって、そもそも温度を上げられません。
まだ途中です。
栗のイガ

アトリエのある大沼の山には、曽祖父が苗を植えた栗の林があります。いまは高く広がっています。
栗が実るまで守り抜いたイガたち。かっこいい役目を果たした彼らが地に還るほんのひとときにお邪魔して、色をいただいています。
数日かけて煮込み、一番汁と二番汁を同じ量ずつ取って、さらに煮詰めます。
鉄で媒染すると、黒に近いチャコールグレー。銅で媒染すると、栗色としか言いようのない色が出ました。栗のイガから、栗の色。狙ったわけではありませんでした。
鉄媒染の分量を変えて、50回以上試しています。
ワークショップで人に教えるには、「なんとなくこのくらい」では通りません。この分量でこの色になる、と言い切れるようにしたかったからです。
月桃(沖縄・西表島)

西表島にいたころ、住んでいた寮のみんなで月桃を染めました。
葉と種を両方入れて、みんなが料理している横でグツグツ煮ました。月桃はショウガの仲間で、匂いが強い。元気の出る匂いです。
僕は素手で染めることが多く、島のパワーをそのままもらったような、湧き出るような染めで、すごく楽しかった。
染めたのは、Tシャツや手拭い、汗拭きタオル。暮らしで使うものだけです。布の繊維がバラバラだったので、色はみんな違いました。
生活の中にある染めは、昔は普通だった。今は普通ではないかもしれないけど、心地いい。
試す方への注意
- 容器を密閉しないでください。鉄と酢が反応して水素が出ます
- 酢を加熱するときは必ず換気を。できれば屋外で
- 媒染液は飲めません。子どもとペットの届かない場所へ
- 手袋をしてください
- 媒染液を煮立てないでください(88℃まで)
- 使い終わった液を、そのまま流しに捨てないでください。銅を含む液は特に、水の中の生き物に影響します
昆布染めとは
昆布染めは、昆布を煮出した液で、布や糸を染める染め方です。morew の阿部翔真は、北海道・函館近郊の大沼のアトリエで、函館・南茅部の真昆布や、だしを取ったあとの昆布を使って染めています。
温度などのやり方は、調べても見つかりませんでした。僕自身、いまも試している途中です。
よくある質問
- 昆布染めは、何色に染まりますか?
- うっすらとした黄色です。ミョウバンで媒染すると少し濃く、鉄で媒染すると生成りがより濃い色になりました。
- どんな昆布を使っていますか?
- 大沼から近い函館の、南茅部でいただいた昆布。だしを取ったあとの昆布。湯の川の浜や鹿部の漁港に流れ着いた昆布です。
- 昆布のほかには、何で染めていますか?
- 北海道では栗のイガ、ぶどうの葉、マリーゴールド、よもぎ、枯れ葉、樹皮。沖縄・西表島では月桃、福木、サンダンカです。
- どこで染めていますか?
- 北海道・函館近郊の大沼のアトリエと、沖縄・西表島です。
染めのことで聞きたいことがあれば、LINE からどうぞ。